NPO法人 京都舞台芸術協会 – Kyoto Performing Arts Organization

京都を中心に地域の舞台芸術家同志の交流や人材育成事業、創作環境の整備を主な目的として活動を行う団体です。

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【実施報告】京都市いきいき市民活動センターの利用料金化に関する意見交換会

   

京都市いきいき市民活動センターの利用料金化に関する意見交換会
実施日:3月9日(火)19:30-21:00
実施形態:オンライン

現在、京都市会に「京都市市民活動センター条例の一部を改正する条例の制定について」という議案が提出されています。この議案では、令和4年(2022年)4月から現在1時間あたり100円の会議室の使用料を上限600円の利用料金に変更するという提案がなされています。いきいき市民活動センターは、舞台芸術分野に関わる多くの人も稽古場として活用しており、その価格の上昇は大きな影響をもたらすことになると考え、この条例改正に関して、京都市議会議員を交えたオンライン意見交換会を開催しました。
急遽の開催告知だったにも関わらず当日は理事と市議含め20名近い参加者が集まり、さまざまな立場からの意見が交わされ、この件への関心の高さがうかがえました。
この意見交換会を踏まえ、利用料金化への慎重な議論を要請する陳情書を協会名義で作成し、3月15日に市会に提出しました。

提出した陳情書の概要

陳情の要旨:京都市いきいき市民活動センターの利用料金制導入に慎重な検討を要請する。

陳情の理由:

・たとえば、100円/時間で使用していた会議室が利用料金制の導入により600円/時間になれば、施設を使う経費は6倍にはねあがる。これは、これまでいきいき市民活動センターを活用して行われてきた多種多様な文化的活動に対して経済的に非常な大きな影響を与える。京都市は、豊かな市民生活を保障する文化都市として草の根の市民活動を積極的に促すべきであるにも関わらず、今回の利用料金制導入はそれに逆行するものである。なにより市民活動の拠点に対して市場における経済原理を持ち込むことには、より慎重な議論が求められる。

・活動の抑制や活動内容の質的変化が免れえないコロナ禍の中、低廉な使用料かつ安定した運営がなされている公的施設は、市民活動のインフラとして必要不可欠のものである。利用料金の導入は、コロナ禍において収入の低下や資金繰りが困難となっている市民活動に更なる経済的打撃を与えかねない。

・舞台芸術分野では、いきいき市民活動センターを稽古場として活用する個人・団体が非常に多い。演劇・ダンス公演に向けてのリハーサルはもちろん、ダンサーが恒常的な身体トレーニングのために利用するなど、長期間・長時間にわたり利用がなされている。稽古場として利用できる施設は、その地域における舞台芸術の層の厚さを担保する非常に重要なインフラである。舞台芸術は採算性が低い分野でもあり、稽古場にかかる経費の増大は、特に若手やアマチュアの活動を抑制し、将来的には京都市における舞台芸術分野および隣接する分野の量的・質的低下を招きかねない。

・実質的な値上げである今回の利用料金制度導入を受け、現在いきいき市民活動センターを積極的に使用している個人・団体が、近隣の自治体の安価な類似施設に流入し、結果としていきいき市民活動センターの利用率が著しく低下するおそれがある。頻繁かつ長時間、継続的に使用している個人・団体ほど利用料金制の影響を被るため、他施設への流入が一度始まってしまうと、利用率の回復は非常に困難であると予測される。

・いきいき市民活動センターは、近隣の子どもや障害をもっている方にとって、慣れ親しんだ場所でさまざまなアクティビティに参加できる拠点である。地域における居場所として定着している施設の値上げがどのような結果を導くか、拙速に事を進めるのではなく、慎重な議論が必要である。

・利用料金制の導入によって、施設運営に対する指定管理者の裁量が大きくなるとされているが、一方で、利用料金を指定管理者の収入として見込むため、指定管理料の減額が想定される。収入の確保に割く努力が増す中で、各施設の特色づけや柔軟な運営が実質的に可能なのか。また、コロナ禍のようにやむなく施設の利用制限をかけざるを得ない場合、市から指定管理者に対してどのように補助が行われるのか、現状では不明瞭である。指定管理者が予算面で萎縮することなく創意工夫を発揮し、特色ある運営(たとえば料金体系や利用時間区分の独自性、重点的に支援する分野や年代の設定と優遇措置等)に挑戦することが可能であり、かつ、不測の事態においても安定した運営が確保されるための具体的な議論を深めていくべきである。

・いきいき市民活動センターを評価する指標として、利用率や運営経費等の数値的評価以外に、質的な評価が必要である。経済原理に必ずしも立脚してはいないが社会や地域にとって必要不可欠である市民活動が行われる場に対し、数値的達成のみを評価の対象にするというのは本末転倒である。市民活動の推進および指定管理者の創意工夫への適切な評価のために、いきいき市民活動センターに対する質的評価の指針を多様な視点で議論することが必要である。

 - 2020年度事業, 事業関連

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