例年開催されてきた俳優向けWSを、2024年度も行いました。今年度は夏季・冬季と、2期に分けて開催。夏季編の今回は、「舞台に携わる多様なジャンルの講師と出会い異なる角度から演劇/演技を見つめ知る」をテーマとし、ダンサーと能楽師の2名を招き対面でのワークを実施しました。
8月22日(木):足立 七瀬氏(ダンサー)
「俳優」という言葉にフォーカスを当てた導入から開始。もともと俳優は「魔除けや豊作のために歌や踊りで神様を喜ばせ、神様の力=業(わざ)を招き寄せること」という意味で、奈良時代は「神様に向けて行う歌や踊りそのもの」を指す言葉でした。その観点から「ダンス」と「演劇」の違いについて参加者と考え、次に実際に身体を動かしていきます。
まずは神経をほぐすワークから入り、その後2組で距離や関係や動き、音楽に合わせて自由に動くワークを。最後に自分の名前を身体で自由に書くという小さな発表をしました。時間の経過とともに参加者の方の緊張がほぐれ、いきいきとのびやかに身体を動かしていたのが印象的でした。
8月29日(木):河村 浩太郎氏(能楽師)
最初に河村さんの経歴、その後能楽の歴史について解説して頂きました。能面・衣装を実際にお持ちいただき、解説とともに間近で見学。貴重な体験に、「ほー!」という声が続出。参加者全員で前のめりになっていて聞いていました。
そして実技として、「能の仕舞」「謡い」「小鼓」のレクチャーを受けました。軽やかに見本を行う河村さんですが、実際にやってみるとスケールや技術の違いに圧倒され、伝統芸能の重み・積み重ねた稽古を感じることができました。
両回ともに、参加者が積極的にワークを行う姿勢が見受けられ、その場にいる全員で広義に「舞台芸術」の面白さを味わうことができたように感じられました。アンケートからは「身体を使って空間や人と馴染む、床を踏みしめて自分の重さを感じる、ありのままの自分を知ることが、少し恥ずかしくてでもとても面白いことなのだと気づかされました。俳優以前の、ひとりの人間としての人生が豊かになるヒントをもらったような気持ちです。」「伝統芸能を体験でき、また楽器や衣装を間近で見ることができて貴重な体験でした」といった言葉を頂くことができました。
冬季編も、より楽しんでいただける内容となるように準備を進めていきます。お知らせをお待ち頂けますと幸いです。
(文責:中村彩乃)