【報告レポート】俳優のためのワークショップ ~冬季編~

  • 2025.03.31

前回2024年8月に実施した「夏季編」を経て、今回の「冬季編」では「声」と「戯曲読解」をテーマに実施しました。どちらの回もたくさんの方にご参加いただき、充実した時間となりました。

3月3日(月)「声を響かせる」講師:木下 出氏(俳優・音楽家)

最初にヨガを全員で行い、緊張をほぐし呼吸を整えて声が響きやすい身体をつくることから開始。その後声を実際に出してみて、背中や喉のどこに響いているかをお互いに触り合いながら探りました。「左右で響き方がちがう」「肩甲骨より下の部分が難しい」など、具体的にできる/できないことを参加者が知覚し言葉にする時間がとても有意義でした。

またワークの合間では、声帯の仕組みを見てみたり、声帯の筋トレ・横隔膜の動きのトレーニングを行ったりと、日々の稽古やアップで取り入れられそうなレクチャーをしていただきました。最後に、自分や相手の声の響きを感じられるようチームを二つにわけて即興合唱を行いました。決めごとがない分、臆せず声を出せる人もいれば、逆に相手とのバランスを考えて発声する人もいて、声は、自分の状態が素直にあらわれる心身の響きということがわかるおもしろい時間でした。

【参加者の声】
◎やはりプロもとても基礎的なヨガによる呼吸法等を実践しているのだと知り、基本を大事にしていくことの重要性を感じました。
◎「発声」については、正しくできているのかわからないままやっていたので、木下さんのトレーニングや知見が大変参考になりました。

3月8日(土):「戯曲を読み解く」 講師:鳴海 康平氏(演出家)

最初に事前に戯曲を読んだ感想のシェアから始まり、その後部屋の間取りを全員で図式化しました。各場面はどこで行われると意味が生じ面白いかといった演出的な目線での話を経て、冒頭からまわし読みを行いました。ト書のちょっとした指定や台詞の相槌一言に戯曲を理解するヒントがちりばめられているため、一同よい緊張感をもちつつ自由に意見を交わしながら場面を読み解いていきました。

「古典は作者に答えが聞けない分、戯曲に書かれていることには何か意味があると捉え、謎の解を結び付けていく必要がある」という鳴海さんの言葉が印象的でした。どのような意図でこの台詞は存在するか、どこに立ち誰に台詞をかけるかなどを、合理的に紐解いていく作業は参加者にとって新鮮だったようで「大変おもしろかった」という声を多くいただきました。

【参加者の声】
◎戯曲に書かれていること全てに意味がある、という前提に立ち 舞台の構造を詳細に図式化する事 置かれている物にある意味 場面によって舞台の構造(物の配置)が変わり、それをどう使うかにも解釈がある..等、戯曲に書かれている具体的なことについて精密に考えるというところが自分の視点になかったので非常に面白かったです。

どちらのワークショップも積極的な姿勢で参加してくださる方が多く、また夏季・冬季両回のアンケートに「勉強をしたいが機会が少ない」という言葉がみられました。学ぼう、向上しようとする方にとって、この俳優向けワークショップが実りのある場となるよう、来年度以降も計画を続けていきたいと思います。

◎開催の詳細ページはこちら

(文責:中村彩乃)

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