2024年度交流会②「こどもとアート:体験から広がるあそびと創造性を巡って」開催レポート

  • 2025.03.01
  • 2025.03.21

今年度2回目の交流会は、ダンスや音楽などのジャンルで、子どもや親子で参加体験できる場の事例紹介や対話を通じて、参加者のみなさんにとって今後の活動のヒントや新たなつながりを見つけていただく機会にしていただこうと考え、1月11日(土)に開催しました。
ゲストには、アートマネージャー、エデュケーターである小島寛大さん(芸術文化観光専門職大学 助教、コジカレーベル 代表)と、ダンスアーティストの千代その子さん(一般社団法人ダンストーク 代表)をお招きしました。
会場は、knocks! horikawa運営委員会さんにご協力いただき、学びと本とアートをキーワードに、子どもたちの学びの場とまちのシェア型図書館が一つになったスペース「knocks! horikawa(ノックスほりかわ)」で行いました。

最初にknocks! Horikawaのご紹介と会の趣旨をお話した後、前半はゲストのお二人から活動紹介をいただきました。
まずは、小島さん。子どもたちのための体験型おんがく室「スタジオ☆ムジカ!」の活動を中心に紹介いただきました。音楽家が子どもたちとどのように関わっているかについては、先生ではなく“あそびのリーダー”として、遊び相手としてその場にいながら、子どもたちの動きを発展させるように振舞うことや、こどもたちの自由な発見を促すために、「教える」のではなく、「伝える・やってみせる」ことで、子どもたちの自主的な興味を引き出す工夫をしていることもお話しいただきました。また、活動を通じて、実際に、子どもたちの日常からの変化が見られた事例もご紹介いただきました。

続いて千代さん。ご自身の経歴からコンテンポラリーダンスとの出会いのこと、そして豊岡市でのコミュニティダンスのプロジェクトとして、豊岡市での「とことこダンサーズ」の活動を中心にご紹介いただきました。
千代さんは「人がコンテンポラリーダンスで自由になる瞬間に喜びを感じる」とお話しされていたのが印象的で、自由になること、解放することが、ワードとして何度も登場していました。
例えば、いきなり自由におどるのは難しいから、まず顔にペインティングをしてから踊るなど、「変身する=いつもと違う自分になる」のような解放しやすい流れをつくることも大切にしている事例や、アーティストとの出会いから一人一人の個性を引き出しながら、創造的に作品をつくられていることなど、今回のキーワードである創造性や主体性についてもお話をいただきました。
また、小島さんと千代さんがともにお関わりの豊岡での親子イベントのお話しでは、発達に特性を持っている子どもたちを対象にしたダンスワークショップで、この活動には心理士の方による保護者向けのワークショップも並行して開催している例もお話がありました。印象に残ったのは、発表会のあとに、すぐに解散ではなく、保護者の方がこどもに感想を伝える練習をする時間を設けていることでした。ワークショップの内容はもちろんだが、その後の大人の言葉かけによって、子どもたちにどのような印象として残るのかが大きく影響するということで、体験からの学びをワークショップの時間後も含めてデザインすることを意識されている事例を聞かせていただきました。

後半は、参加者の方からでた質問を中心にディスカッションを行いました。参加者のお一人お一人から今日の事例のことについてやご自身の活動の中で感じている疑問や質問などをお聞きして、対話していきました。
例えば、メリハリのあるワークショップにする秘訣はあるかという質問に対して、毎回必ずゴールを決め、ステップを決める。そこから逆算して構成を考えるという回答をいただいたり、子どもと接する時のコツとしては、まず物理的に目線をあわせる+正面から近づかないことや自分のインナーチャイルドを知ることも有効であることのお話が出ました。
また、対象年齢の設定については、特に乳幼児向けの事例のお話も交えながら、ある程度固まった年代で開催した方がよいことや、乳幼児は月齢単位で発達の段階が異なる細やかな気遣いが必要であることなどのお話が出ました。

今回の交流会では、こどもとアートの関わりをテーマに、実践者の具体的な取り組みを知ることができ、参加者同士で深い対話を交わす貴重な機会となりました。
子どもの自由な発見や創造性を引き出す方法として、舞台芸術を活用する実践の豊かさを共有し、参加者一人ひとりが自身の活動に活かせるヒントを得る場となったことが印象的で、交流会終了後も参加者同士でお話が続いていたことも印象的でした。今後も、子どもとアートをテーマにした場づくりについて考え、実践者同士がつながる機会を継続的に作っていきたいと思います。

(文責:渡邉 裕史)

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