2022年12月15日(木)THEATRE E9 KYOTOを訪問したインターン生のレポートです。
インターン生の紹介ページはこちら→ https://kyoto-pa.org/2022intern/
京都市南区東九条にあるTHEATRE E9 KYOTO(以下、E9)は、2015年から2017年の相次ぐ小劇場の閉鎖を受けて、民間の力によって建てられた小劇場です。インターンシップ生は、2022年12月にE9を訪問し、芸術監督のあごうさとしさんのお話を伺いました。アトリエ劇研をはじめとするE9が誕生する前の京都の舞台芸術業界の様子や、E9設立の経緯、劇場の理念について教えていただきました。インターンシップ生は、どちらも日頃から劇場を利用させていただいていますが、改めてE9および京都の舞台芸術業界の歴史を知る機会となりました。(インターン生・永澤)
E9が誕生するまでの経緯を伺い、誰かが困難な状況を変えてくれるだろうという「待ち」の姿勢を辞めて、課題解決のために一つ一つ行動していくことの大切さを実感しました。アーツシード京都(※)の理事は、京都の舞台発表の拠点であったアトリエ劇研がなくなるという危機に対して、ためらうことなく劇場を作ろうとしたと伺いました。劇場を作るのは私の想像以上に大変で、E9を作る過程でも、建築審査会の突破や工事費の値上げ、劇場のリプランニングなど、多くのハードルがあったとお聞きしました。それでも、「みんなで劇場を作ろう」と声をあげて仲間を集め、クラウドファンディングによる資金調達や3年間の事業計画書の作成など、一つ一つ社会的な信用に足るものを積み上げることで、劇場設立が実現したのだと分かりました。
困難な現状に対して、つい、誰かのせいにしたり、環境に恵まれていないと嘆いたりすることがあると思います。しかし、たとえ大きな目標であったとしても、一つ一つしっかりと積み重ねていくことで、社会は変えられるのだと勇気づけられました。私も自分から現状を変えていけるような人間になりたいです。
加えて、自分の将来についての相談をさせていただいた際に、舞台芸術の現状を変えるための努力の方向は、文化政策や都市政策、教育、経済など、多様な分野から考えられると伺ったことも印象に残りました。学生の間にたくさんの経験から学びを得て、将来自分がどこに身を置いて課題に取り組んでいくのか決めたいです。
※一般社団法人アーツシード京都。THEATRE E9 KYOTOを設立、運営している。
永澤萌絵
E9という劇場が完成するまでには多くの困難があったことお聞きし、今京都を支える劇場が外からは見えない努力のうえに成り立っているのだとひしひしと感じました。
特に劇場へ改築される以前の活動の話が特に興味深く、印象に残っております。
たとえば、地域住民から理解を得るために説明会を開催し、ときには劇場建設前の倉庫でイベントをおこなうこともあったということが挙げられます。これらは素晴らしいことであり、おもしろいことだと思いましたが、それと同時に、そのような活動があったことを知っている人が少ないのではと思い残念に思いました。
劇場の存続のために自ら考え動き、E9をここまで運営し続けてきたという話を聞きました。これに対して、自ら考え動くことの大切さを学び、なにか目的を持つことが大事なのだと感じました。
それに加えて、当然のように今あるものに対して、なぜあるのかを考えていくことがより一層自分の考えの発展に繋がるだろうと思いました。
また、この考え方を文化芸術の領域の発展にも活用していきたいと思いました。
京都の小劇場が減少していくなか、劇場を途絶えさせないために生まれた劇場がこの先どのように小劇場の世界に変化をもたらしていくのか楽しみです。また、小劇場へ私自身も変化を与えられるような活動をできたらと思います。
岩越信之介