「ASOVIVA!」研究会開催レポート

  • 2023.09.07
  • 2024.06.22

8月24日、25日に「ASOVIVA!」と題して演劇表現の研究会を行いました。
この企画は実験・研究の場として参加者の一般公募はせず、
「特定の作品の上演に向かっていくのではなく、自由な遊びのような創作の現場の可能性を探る」
「劇場という制約から離れることで可能になるさまざまな表現の実験を行う」
「テクニカルスタッフや俳優など、さまざまな専門性の人が、横断的に関わりあいながら創作する可能性を探る」
という趣旨で協会員向けに開催されたものです。

参加者は9名。俳優、作家、演出家、舞台監督、美術家、照明家、音響家、プロデューサーなど様々な専門領域を持った方にご参加いただき、美術倉庫にある資材や持ち込みの機材を使って2日間にわたり創作の遊びをしてまいりました。

作品作りを前提としないものづくりの中で表現の可能性を探りたいということで事前にテキストは用意せず、「優美な死骸」というシュルレアリスムの制作手法をもとに、一人一人が書いた詩をばらばらに分割して、無作為に選ばれたその断片から1行の詩を作るという方法で2つのテーマが決まりました。

①ヘリコプターから/ 魚の/せいかつを/湯切り/冷めて
②広がっていく/エレベーターの天井/コツは/バケツに張った

①、②の詩を題材にそれぞれ1日目、2日目を遊んでみようという事になり、いったん詩の解釈とそれをどう表現に起こすかの議論を行いました。言葉から受ける印象やアウトプットへのアプローチも人それぞれで興味深く、この部分だけでも1日遊んでいられそうに思われましたがメインの創作実験に進みます。
湯切りについて話したことをもとに足場の上から水を降らせてみたり、
スクリーンやスモークに映像と照明をいろんな角度から当てて見たり、
その中に人間が入ってみたり、
話し合ったことを端から順に試していくだけで初日はわいわいと過ぎていきました。

2日目は初日を踏まえてどうやって遊ぶかはじめにざっくりと話し合い、
1~2分程度の映像を2パターン撮影して時間いっぱいまで遊んだ後、片付けと感想会を行って解散しました。
撮影した映像はこちら↓

2日間通して表現で遊ぶことの実験をしてみましたが、
「専門に限らずフラットに提案出来る時間が思った以上に遊べた。」
「慣れればもっと遊べるようになりそうだし、普段の創作にも同じような時間を取り入れられると思う」
など、全体としては純粋に楽しく遊べてよかったという感想と同時に
「もっと普段と違うやりたいことやおもちゃ(技術)を持ち寄って、そこから始めてもいい」
「2日とも前から観るタイプの鑑賞を想定したアウトプットになったので、もっと多様な鑑賞方法を試してもいい」
「もっと思い切って進行を手放してもいい」
という意見もあり、もっと遊んでもいい、遊べるはずという印象を受けました。
今回の実験を活かしつつ是非またこのような機会を設けて、遊びながら創作の訓練をしていけたらと思います。

文責:竹内良亮

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