2024年11月、インターン生は京都市の「京都芸術センター」を訪問しました。京都芸術センターは、京都市における芸術の総合的な振興を図り、2000年に開設された芸術創造拠点です。124年の歴史をもって1993年に閉校した明倫小学校の跡地を、10もの制作室、南北2つのギャラリー、広々とした講堂や図書室までも備えた施設として活用し、多くの市民が集い創造する場所として開かれています。
貸館事業を行わず、公募で採択したアーティストに制作室を無償で提供し、 自身の芸術創造の成果を広く発表しようとする新進又は若手の芸術家にも開かれたアートセンターとして運営されています。また、「明倫ワークショップ」という芸術センターでの制作活動を市民に開くイベントを行い、地域の方や市民がより芸術を楽しむことができるような工夫もなされているなど、自由な創造空間・慣習にとらわれない芸術と公共性の双方を追及する京都芸術センターで、今回は運営の理念や、アートコーディネーターの姿勢についてお話を伺いました。

今回伺った中で「申請書もコミュニケーション」というお話が印象的でした。制作室の利用をはじめとして様々なアーティストや市民対象の公募を行っている京都芸術センターでは、申請書を目にすることも多くあるそうですが、その中で、なぜこの場所で制作するのか、申請する作品計画にどれだけ熟慮があるか、そしてその作品制作を通じて、自身の活動や取り巻くのなかで、何にアプローチして、環境を変えたいと考えているのかなど、一見事務的なやり取りに見える申請書から多くの事柄が見えてくるそうです。一人でやればしょうもないようなことも、誰かが見ることによって作品・公共のものになるというお話もあり、現場で観客が目撃するという場面から申請書まで、芸術作品にとって「何かを誰かに伝える・手渡す」ことの意味や価値は、目に見えるよりずっと重層的なものなのだと痛感しました。
私は京都芸術センターには数度行ったことがあるのですが、雰囲気のある建物と優しい空気にいつも癒やされるような気持ちになります。これは地域の方々とのつながりと、文化から人のつながりを育むという理念に支えられたあたたかさなのだろうと今回の見学で感じました。
(夏海瑶)


■京都芸術センター
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所在地
京都市中京区室町通蛸薬師下る山伏山町546-2