インターンシップ生 芸術準備室ハイセン訪問レポート

  • 2024.02.06
  • 2024.06.22

2024年1月、インターン生は芸術準備室ハイセン(以下、ハイセン)を訪れました。誰でも気軽に使える稽古場・作業場を目指して設立されたハイセンには、レンタルスタジオや機材だけでなく、作品をつくるための設備がそろっています。舞台芸術はもちろん、美術や音楽、文芸、調査研究などジャンルを問わず利用できる施設で、滞在制作や合宿も可能です。宿泊できる部屋やアトリエ、スタジオなどの各部屋を実際に見学させていただいたのちに、ハイセンという場所を設立した経緯や、どんな利用者がハイセンで芸術活動をしてきたのか、運営メンバーの神谷俊貴さん、岩木すずさんに伺いました。(川崎)

「誰でも気軽に使える施設」というと、まず公共施設を想像する人が多いかと思いますが、ハイセンは民間の団体が運営する建物です。初めてハイセンの存在を知ったとき、私はとても驚きました。
しかし、今回お話を聞く機会をいただいたことで、なぜ公営ではないのに「誰でも気軽に使える施設」ができたのか合点がいきました。先着順の予約システムや24時間の連続利用、柔軟な料金設定など、気軽に使える施設としての方向性が公共施設とは異なるからです。もちろん公私どちらかが優れているというわけではなく、むしろどちらもあるから豊かな芸術が生まれるというか、とにかく、アーティストが創作するための居場所として素敵な施設だなと思いました。
そもそもハイセン設立にいたった出発点のひとつに、学生劇団で活動していた人が大学の設備を使えなくなったためアトリエのようなものを探していたという経緯があったと聞きました。
居場所がないならつくる!前回THEATRE E9 KYOTOを訪問したときにも感じたことですが、今あるもののなかから選ぶことと同じくらい、新しく何かをつくることが大切だと思います。それが作品なのか、イベントなのか、居場所なのかは状況によりけりですが、必要だと思ったら行動するスタンスを私も身につけたいです。必要だと思ったことのためにどんな行動企画を立てるか、いろんなアイデアがこの文章を書いている今も頭の中を駆け巡っています。    

                                川崎未侑


無料カンパ制で運営されているコミュニティスペースは数多く存在すると思いますが、特に芸術創作に特化した場は私にとって初めての出会いでした。運営メンバーのおふたりにお話しをうかがった際、元は一人芝居企画の稽古場や、就職によって離れていた「絵を描く」という創作を再開する場として、運営し始めたというお話を聞きました。そのお話の隙間隙間に「社会生活を営みながら芸術創作を続けることの大変さ」に対する苦労と、反骨精神が垣間見えていました。立場に関係なく、創りたい人が作り続けるために存在する場を作りたい、という言葉をおふたりから聞いたとき、自分自身にも身に覚えのある苦しさを反映し、実際に場として作り上げられたハイセンという場所に感動を覚えました。
しかし、このような熱意の中にありながら、ハイセンはとても穏やかな場所でした。山に囲まれ、遠くには琵琶湖が見え、様々なジャンルの創作を自らにあったペースで創り続ける人たちがにぎやかに集う場、という印象を受けました。創作者の一人である者として、ぜひ滞在し演劇創作を行いたいと思いました。そして同時に、場づくりという観点から見た際、ハイセンは激動の社会の中で人々がゆったりと留まり、芸術創作、創作準備に時間を充てる止まり木のような場所であると感じました。
ぜひ、創作の場に困っている方、生活の中で創作を続けようと頑張る方、そしてそのように頑張ることに疲れてしまった方、様々な方々に知っていただきたい場所であると感じました。                                          

興梠陽乃


■芸術準備室ハイセン
web https://haisen8100.tumblr.com/
X @haisen8100
facebook https://www.facebook.com/haisen8100
instagram 8100haisen

所在地 〒520-0514 滋賀県大津市木戸1696-2

〇アクセス
・最寄り駅JR湖西線 志賀駅より徒歩約15分 湖西道路志賀ICより約5分 駐車駐輪場あり
・志賀駅まで→堅田駅から約12分、山科駅から約31分、京都駅から約36分、出町柳駅より約1時間
・名神高速道路京都東ICより約40分

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