2024年3月、インターン生は東山アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)を訪問しました。芸術家と芸術を支えるためのよろず相談所として設立されたHAPSは若手芸術家が京都市内に居住し、活動し続けることができる環境を整えられるよう様々な支援活動を行っています。住まいやアトリエとするための物件マッチングや仕事のコーディネートだけでなく、若手芸術家の作品を紹介するために国内外からのキュレーターの招へいを行うなどその活動内容は多岐に渡ります。また、京都市内各地域の住民の方々と協力した企画を行い文化芸術の促進を図っています。 これまでの取組み内容や、若手芸術家への支援内容、そして芸術家、地域住民とともに文化芸術促進に取り組むに当たって大切にされている姿勢をお伺いしました。 (興梠)
以前からHAPSのお名前は知っており、HPなども拝見していましたが、活動内容の詳細はあまり知らないまま、今回の訪問を迎えました。お伺いした活動内容は多岐に渡りました。現代美術などをフィールドとする若手芸術家への物件紹介や仕事紹介、東九条の公園で行った地域住民が蔵する写真の写真展、高齢者の方々を元気づけるために老人ホームへ俳優を派遣する…どれも印象的な内容でしたが、共通して感じたのは「社会と芸術を繋ぐ」というテーマでした。
舞台芸術に限らず、芸術の創作をライフワークとしている人々の生活や活動内容はどうしても社会活動と切り離されてしまう印象があります。私個人も、稽古場にこもる時間も長くなり、また出会う人々も創作仲間や同じように舞台芸術家を志す人、業界関係者などになっていくように感じることが多いです。そして自分の活動は、「創作したものを社会に向けて発表する」ことでしか社会と繋がれないような感覚に陥ったこともありました。HAPSが行っている活動内容は、芸術家達が行っている活動が直接的に社会と繋がるよう、あるいは芸術を専門としていない人々と共に創作する場が生まれるよう活動促進する内容だと思いました。そういった創作の場・作品がより多く生まれることで芸術家たちの視野も広がり、社会的に見ても芸術というフィールドにおける活動の重要性が認められやすくなるのではないかと思いました。また、私個人としても演劇活動を行う人間として今後ぜひHAPSを利用したいと思い、今後の活動にも注目していきたいと感じました。
興梠陽乃
本当に初歩的で恥ずかしいのですが、アーティストがどうやって社会と共生するのか、そもそも共生とは何か、自分なりの答えを確立していなかったと気づいた時間でした。訪問前に、予習がてらHAPSのWebサイトや事業報告書を拝見したり、「共生」の意味を辞書で引いてみたりはしていました。ふーんそういうことなんだとうっすら理解したつもりでいたのですが、実際にお話を聞けば聞くほど正解のないテーマなのだと考えを改め、訪問を終えたあとも、ふとした瞬間に思索を巡らせています。当たり前のことですが、共に生きる人の組み合わせが10通りあれば10通り以上の考え方が生まれるわけですから……。
いろいろと考えている間、アートと福祉の親和性が高いことに興味を持ちました。ある種の規範から逸脱したアートという存在が、福祉の領域と似て非なる、非なるけど似ているということを面白いなと思います。直感的で言葉に落とし込むのは難しい気づきなのですが、いつか自分が創作するときにも大切にしたいです。
HAPSではSocial Work / Art Conferenceという社会とアートの領域両方にまなざしを向けた相談場所がありますね。各領域の専門家や当事者たちが集まる場所でアイデアを出し合えば、双方にとって得るものがあるのは素敵なことだと思います。いろんな人に勧めたり、自分で訪れてみたりしたいです。
川崎未侑
■東山アーティスツ・プレイスメント・サービス(HAPS)
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