NPO法人 京都舞台芸術協会 – Kyoto Performing Arts Organization

京都を中心に地域の舞台芸術家同志の交流や人材育成事業、創作環境の整備を主な目的として活動を行う団体です。

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交流会#3「演劇 in 学校!」レポート

      2019/06/04

去る2019年3月8日、京都舞台芸術協会、本年度の最後のイベントとなる交流会#3「演劇in 学校!」が行われました。そのレポートです。テーマはタイトルの通りで参加者募集の文章から抜き出しますと…

【概要】
演劇部の活動やクラス劇の運営等「演劇in学校」について
<内の人=教育関係者>vs(?)<外の人=協会員、その他演劇人>でざっくばらんに語り合います。「演技指導ってどうすればいいの?」「大会での評価って何が大事?」「(演劇部の)部活動指導員(外部委託)の今後は?」等々…気になる疑問、意見を交換し交流を深めましょう。
【会費】
1500円
(ワンドリンク+軽食料金込)
(別料金で追加の飲食可能)
【対象】
・ 演劇部の顧問をされる先生
・ クラス劇や文化祭運営を担当される先生
・ 「学校内の演劇」に興味のある協会員、演劇人

というような集まりでした。18時半から受付を開始するとポツリポツリとご予約の方々が集まりはじめ開始時刻には飛び込みのお一方含む十五人の皆さん(協会理事、事務局員含む)が集まってくださいました(最終参加者は十六人)。会場は京都の下京区の「カフェギャラリーときじく」さん。くつろいで話のできるアットホームなスペースと、美味しいお飲み物お食事をご提供いただきました。ありがとうございました。会は「ざっくばらん」すぎず「かたくるし」すぎない、非常にいいバランスの良い時間だったと個人的には思っています。(参加者の皆さんいかがでしたでしょうか?)

「ざっくばらん」=フリートーク中心、いわゆる飲み会

「かたくるし」=テーマトーク、ディスカッション、シンポジウム

今回その真ん中ぐらいをやれたらいいのではと考えていました。「飲み会」になると個別で交流は深まりますが、問題意識の共有や新たな視点の発見ということが薄くなります。逆に「シンポジウム」になると個々の交流が薄くなる。(声のでかい人が喋り、黙ってる人はずっと黙ってる)ちょうど真ん中ぐらいになればいいなぁと思っていて今回は「狙い通り」!と言いたいところですが、なにより人数が絶妙だったことと、会場がそれにフィットしていたということだろうと思います。二十人ぐらいになると、飲み食いしながら一つの事柄についてみんなで喋るってのは難しいでしょうし…。また「真ん中」であるからこそ「もっと深く語りたかった、聞きたかった」という不満や「もっと個別に話したかった」という不満もあるだろうと想像しています。結局二時間では短いのかもしれませんね…。

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19時。田中の方からご挨拶と会の趣旨説明をさせていただいたのち乾杯。その後参加者の皆さんに紙と筆記具をお配りし(したのかしら?)各々に「質問」を書いていただきました。これは「かたくるし」要素として交流会#2「学生劇団の今」からやり始めた「yes/noアンケート」です。参加者は質問を考える。その「質問」は[yes/no]で答えられるもの。そして質問する相手は「この会の参加者」です。さてどんな質問が出て、どんなアンケート結果になり、そこからどんな話に展開したんでしょうか…レポートしていきます。

まずは第一問。これは例題として協会から皆さんに質問したものです。

Q京都舞台芸術協会をご存知でしたか?

Yes:14
No:1

Noの方がいらっしゃいます…。自前の企画の参加者の中にすら未認識の方がいらっしゃる現実を重く受け止めねばなりません…(苦笑)
以降、お飲み物お食事しながら本題に入って行きます。以降は参加者の皆さんから集めさせてもらった質問です。

Q 演劇指導などに来られるとき、ある程度長期に渡ることがありますか。

Yes:4
No:5

どっちとも言えない。という場合や、例えばこの質問であればそもそも「演技指導に行く立場にない」という人はyes/noを棄権することになります。なので結果が上のように参加者の総数とはズレてきます。

●YESの人の意見

  • 半年で月一で6回とか行くことがある。(高校生)
  • 単発のことが多い。

もちろん演劇人側からすると何回も読んでいただけた方が良い仕事ができるし報酬もいただけるのでありがたいのですが、なかなかそういう現場はないよね、と田中は思ってたので、このアンケート結果はちょっと驚きでした。力入れてやってるところはやってるんですねぇ…。「長期」という期間、また頻度のこともありますが、同時に「1クラスに何人つけるのか?」ということもその指導、ワークショップの成果を大きく左右すると個人的には思っています。昨年秋に「1クラスに五人の演劇人が入る」という、これは奇跡なんじゃなかろうか?というような現場に呼んでいただきました。クラスを5グループに分けてその人グループずつに1人演劇人がついたのですが、もちろん素晴らしかったです。

Q 学校における演劇の表現にNGはあると思いますか?

Yes:11
No:3

●YESの人の意見

  • (その発表を)見せる人による。保護者が見るのか、とか。保護者からNGが出るとややこしい。中学生は気にするようにしてて、高校生は気にしてい無い。
  • それ(きわどい表現)をどう外に出すか工夫はする。大事。その工夫、方法を考えることが我々(学校に入れてもらってる演劇人)の仕事じゃないか。

●NOの人の意見

  • 創作者としてはNOと言いたい。みんなの発想の芽を摘みたく無いなと思う。やめとこな、というのは言いたく無い。
  • 指導者がNGだということはある。リーダーが「こうしたい。これをタブーとする」、といっているだけで、(NGは)実際はないんじゃ無いか。

「創作者としてはNOと言いたい。」というのは多くの参加者の頷くところ。同時に「とはいえなにがしかのコードはあるでしょう」というというアンケート結果ではないでしょうか。話はさらに具体的に展開し…

  • 「殺人」ってありなのか?子供に作ってもらうと、殺人か裏切りかになる。
  • 北朝鮮のトピックスが好きで金正恩ですとか言って出てきたりする・・。止めさすべきか?(田中)

北朝鮮のことに関しては私が実際に「これは差別(的)だよな」と感じながらも生徒たちを止められなかったという体験があります。その時私は「先生、止めてよ」と思いながら、でもうーん…という非常に二重三重にねじくれた状態でした。

●学校の内側の人でNOにあげた方の意見

  • NGありであげたが、個人的にはなんでもいいよと思う。大会で上演禁止されたことがある。本番の一週間前にやったらダメだよと言われた。部活動で。NGは何か?ということをめちゃくちゃ考えた
  • 質問:「何がダメだと言われたのか?」
  • 高校生が恋をして馬鹿馬鹿しい下ネタとかスカートをめくろうとしたりとかが「女性蔑視」と言われた。

部活動で「本番の一週間前にやったらダメだよと言われた。」というのに私は驚愕、ブーイング。しかしやはり「蔑視、差別」というポイントは避けて通れないのじゃないかと感じました。「創作者としてはNGなんてないと言いたい。」ではキャンセルしきれない。ヘイトスピーチ、セクシャルハラスメントの問題と隣接することではないかと田中個人的には感じました。会田誠さんのこともありましたね最近…

Q 演劇部の大会に意義はあるか

Yes:13
N0:0

アンケート結果としては「そりゃあるんじゃないかしら」ということになりましたが、質問してくださった方の問題意識を伺ってみますと

●質問者

  • (高校演劇の)大会を見てるんで大会制度自体、どうなのかのかなと聞きたかった。審査の基準がどうなのか、参加費とか

作品に「審査」「順番をつける」ということに関してはもう永遠に答えの出ない、でも考え続けなければならない問題かもしれません。また「参加費」のことに関して私、田中は大学から演劇を始めたものですから知らなかったのですが、中学や高校で、「大会」に参加するとなると、「演劇部員が参加費としてお金を払わなければならない」事例があるようです。もちろん地域や各学校によって状況は全く違うそうです。考えてみれば高校野球でも甲子園を抑えるお金(の多くは)朝日新聞や毎日新聞が出しているわけですね。演劇部のその大会をする会場費、スタッフの人件費はどこかで捻出されなければ実現できませんものね。村上理事は中高?(失礼うる覚え)演劇部だったそうですが、顧問の先生がなんだかその「参加費払う」のが解せんかったようで、村上さんたち演劇部は大会には出ずに自主公演をされていたそうです(!)

Q 学校での演劇WS楽しいですか?

Yes:12
No:0

質問者は「学校の中の人(先生たち)」でもなく「学校の外の人(演劇人などワークショップや指導をしに行く人)」でもなく、その両者の間をつなぐ人です。コーディーネーター。触媒としてこういう方がいらっしゃるおかげである意味「ヤクザな」演劇人が学び舎に足を踏み入れることができる。と、これはもちろん私田中の個人的な感想です。僕はあんまり「教育とは」とか「演劇が子等のコミュニケーション能力を…」というようなことは「言わぬが花」だと思ってしまうダメな演劇人なので、こういうコーディネーターの存在がとても心強いです。しかし一方で「演劇の仕事の中で学校にワークショップで入るのが一番たのしい!(普通の芝居の舞台よりも)」という方(俳優さんです)もいらっしゃいました。

Q 外国語教育の中に演劇を取り入れることに積極的になった方がいいと思いますか?

Yes:11
No:0

  • 小学校の「英語」でお芝居をつかった授業をやった。(普段の演劇ではない事業では)英語がスライドで出てくるからそれを読んで伝えようとするものだったが、劇にすると相手がいて喋るので「英語をなんで喋ってんのか」とかがわかりやすい。
  • (先生)年間留学生が必ず来る。劇の中の役割を決めてやるんですが・・、留学生の方がなんでここでこれをゆうのかって言うことをきっちりやられる。逆の場合もそうなんだろうなって思う。日本人が日本語をしゃべることを深く考えてるからだろう。
  • 高校生の時にカナダに留学してて、ドラマケーションが強くて、ドラマという授業があった。みんなで色々議論してあーでもこーでも無いと議論してるのがリアルな英語を学んでいた気がする。

私見ですが、「演劇」の本番の【舞台←→客席】間のコミュニケーション、表現。の手前に「創作していく過程でそのグループの中でなされる相談やりとり」があり、むしろそちらから「学べる」ことが多いではないか?「人前で大きな声で話せること」よりも「人前で大きな声で話したくないメンバー」がいるグループ内で「我々どないして発表まで持って行こうか…?」と意見交換することの方が「コミュニケーション」という意味においてははるかに難しくそれゆえ学びになる。(という哲学に基づいたワークショップに去年参加させていただきました。)外国語でも日本語でもそれは同じなのかもしれないと思いました。

Q 部活動外部委託制度を知っていますか?

Yes:7
No:8

●質問者

  • 教員の長時間労働の是正。部活動の顧問の先生を週8時間(活動時間を三時間だとしたら三日分弱)まで財源はあるが、それしかないが制度としてあります。顧問勘弁してくれところもある。演劇の大会のシーズンによっても違う。いろんな部活である。
  • ?市に申請するんですか?
  • 市に登録するんです。マッチングするんです。府は(共に京都の話)どうなってるかはわからない。高校演劇はやりたい先生多いですけど。退職した先生の再雇用になっていることが多いが、演劇の人たちがそういうことになったらいいのになあと思いますが。時給はそんなに良く無いかも。教員を目指している大学生が多い。教育とは関係ない人はあんまりやってない。
  • 求人情報をたまたまみていたら、ちょうどそんな(部活動指導員の求人)のが出てきた。朝練とか、怪我したら早急に知らせるとか、そういう条件ネットであげるんだと思った。
  • 指導員の人は大会の運営と関われないんですよね?先生の人しか大会の運営やってないんですよね。微妙ですよね。指導員に運営もやってくださいって言われてもそれも微妙ですよね。契約的にどうなんだ?とかある。

部活動指導員についてはこちらも参照してください。http://www.mext.go.jp/prev_sports/comp/b_menu/shingi/giji/__icsFiles/afieldfile/2017/10/30/1397204_006.pdf
演劇部、ダンス部などの顧問に特に若い演劇人、ダンサーが入ってそのことにより舞台芸術家も「本業」での収入がいくばくか入り、若い人たちにもっとダンス演劇の楽しさを直接的に伝えられるような環境になれたらすごくいいことだなぁと思っています。が、この二年三年とかで劇的に状況が良くなるということはあまりないかもしれません。と私田中は思っています。それは端的に「部活はいっぱいある」から。ダンス部演劇部だけの話じゃないので、あたりまえですが。また演劇、ダンスの顧問をされている先生は本当に「好きで」やってらっしゃる方が多いという現実。自分の余暇を潰しても生徒らと芝居をつくりたい!と、思ってらっしゃる方が少なくないのではないだろうか。つまり現存の「演劇部、ダンス部の顧問」に空きが出る→部活動指導員の需要ができる機会があまりなさそうだと思うからです。もちろん現状でも「コーチ」としてやってらっしゃる方は少なくないのですが。

Q 高校の卒業後も演劇を続ける人多いですか?

Yes:1
No:4

今回もっとも答えづらかった(棄権者が多かった)質問です。質問者の問題意識は…

  • (質問者)京都学生演劇祭の大会(大学生の演劇部、演劇サークルの大会。京都だけではなく、全国的にも広まりを見せており、「全国学生演劇祭」も行われている。(http://jstf.jp)を高校生の時にみてて出たかったという子がちらほら出てきていて、どのくらいの感じか興味がある。
  • 感覚的には目立つ子は続けてる印象がある。それが数として増えてるのか減ってるのかわからない。
  • 高校で始めたなら、ぜひ続けて欲しい。
  • 高校演劇の大会を運営したりしているが(一校に)1人いたらいいくらいなのが正直なところ。3年に一回は劇団作りました・・とかそんなのがあるくらい。高校演劇をやっている人は高校演劇がやりたい人が多い気がする。
  • (高校演劇をしていた人は)隠れキリシタン的に(興味を持ち続け)シニアでカムバックしていたりもする。根付いているような気がする。

舞台芸術人口、劇場に足を運ぶ人口をどうしたら増やしていけるのか。増やしたい!という本質的な欲望から目をそらして「コミュニケーション能力が…」とかいうてるのはどうなんだろうと個人的には思います。行く先々の学校で、出会う生徒たちの1人でも2人でも「お母ちゃん、お芝居、観に行ってみたい!連れってって!」と言わせるようにするというのが演劇人のミッションでは…。などと考えました。

Q 部活動で演劇って成立する?

Yes:13
No:0

こちらも「それはするでしょ?」というような空気でしたが…

●質問者

  • 大学に入って劇団に入った時は意識高い低いがあって喧嘩したり公演中止とか色々とあった。「部活動」としてどうなんだろう?(演劇の本質的な部分は)「部活動」の枠外にあること多くあるんじゃないか?

大学、高校、中学、とどの時期の「部活」なのか?ということによってもそこでなされる「演劇」のあり方や意味は違うように思います。

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質問コーナーがこちらの予定よりも15分ほど伸びてしまい、そのあと集合写真撮影に続いては「宣伝コーナー」。各位が関わるイベントの宣伝を一人一人30秒ずつ(短い!)していただきました。その後フリートーク。お食事もだいたいさらげていただき21時すぎに散会となりました。

ご参加いただいた皆さん。本当にありがとうございました!!

参加者割合として「学校の中の人(教員の方、など)」が少なくなってしまい、「是非とも学校の内部の人の考え方を知りたい」と思って参加してくださった方には肩透かしなことになったかもしれません。その点、お詫び申し上げます。反省です。

以上でレポートを終わります。長文を最後まで読んでいただきありがとうございました。来年度もこういった交流会は何度か行う予定でいます。来年度の事業は近々に決定する予定ですので是非ご参加くださいませ。

文責:田中遊

 - 2018年度事業, 未分類

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