作品について - 建築家M -

京都舞台芸術協会プロデュース2012AAFリージョナル・シアター2012~京都と愛知vol.2~「建築家M」の公式サイトです。

田辺 剛

劇作家、演出家。「下鴨車窓」主宰。
京都大学在学中に演劇を始める。
2004年からは作品ごとにメンバーを募る
創作ユニット「下鴨車窓」を中心に活動。
2005年『その赤い点は血だ』で
第11回劇作家協会新人戯曲賞を受賞。
2006年秋より文化庁新進芸術家海外留学制度で
韓国・ソウル市に一年間滞在し、劇作家として研修する。
2007年に『旅行者』で第14回OMS戯曲賞佳作を受賞。
2008年より劇場「アトリエ劇研」ディレクター。



どこか遠くの未来や過去の物語のようにみえて、
実は私たちにとても密着した作品と捉えています。
出来事や事件についての説明はほとんどなく、
創る側・観る側にたくさんの想像をもたらします。

遠くにいたり近くにいたり
表と裏 善意と悪意が入り交じり
確かさ不確かさを紡いでいく

一つの言葉や行動に多くの意味が見えては隠れ、
抽象と具体を行き来しながら、
今の私たちの生活や世界にアプローチしている作品です。

今ここにあること 過ぎ去ったこと その先に向かうこと
そして変わらないことがここにある

埋もれたモノを探していく、それは果てなくも楽しい作業です。



田辺さんの戯曲に繰り返し登場するモチーフは
破滅しかけた辺境の共同体です。

登場する人物たちはどこを見ているのかわからないような人々で、
自分たちのまわりが崩壊しようとしているにもかかわらず
それを認識しているのかしていないのかもよくわからないし、
真剣に葛藤する様子も感じられません。
ほとんど無疑問に共同体の慣例に従って過ごし、平然としています。

その行動はとても奇異なものに感じられるので
全体的には不穏な空気が漂うのですが、
どこかしら滑稽で愛らしくもあります。

そのあたりの魅力を大切にしながら、
また創作の過程での新たな発見への道を開きながら、
これからの試行錯誤を楽しんでいきたいと思っています。

演出家、俳優。「第0楽章」メンバー。
木野花ドラマスタジオ出身。「第0楽章」にて演出を担う。
主な演出作品に『あくびと風の威力』(作:角ひろみ)、『fとゆらぎ』(作:グランドボノボ)など。『あくびと風の威力』は、横浜SAAC「再演支援プロジェクト」リバイバル・チャレンジ#5に選出。
俳優としても外部作品に多数参加。主な出演作品に、木野花ユニットFlowersBonBon『PARTY』『夜の森』(構成・演出:木野花)、キラリ☆ふじみで創る芝居『耽餌』(作・演出:下西啓正)、『グランドフィナーレ』(作:岩井秀人/演出:富永まい)、せんがわ劇場アンサンブル『時の物置』『雪の女王』(演出:ペーター・ゲスナー)など。
若手演出家コンクール2011優秀賞受賞。

演出家、俳優。「ルドルフ」主宰。
1999年「劇団衛星」入団と同時に演劇活動開始。
2003年、退団後はフリーの俳優として、多様な劇団の演出家や共演者とともに作品創作に携わる。2008年、自身の企画・創作の場として「ルドルフ」を立ち上げ。演出家としての活動を開始。演出作品として『結婚申込み』『熊』(作:A・チェーホフ)、『ルドルフのまっしろけでゴー』(作:筒井加寿子)、自身の出演企画として『授業』(作:E・イヨネスコ/演出:水沼健)を発表。
その他、主な出演作品として、下鴨車窓『人魚』(作・演出:田辺剛)、トリコ・Aプロデュース『和知の収穫祭』(作・演出:山口茜)など。
平成21年度京都市芸術文化特別奨励制度 奨励者。

<出演>

【柏木演出】

高杉征司
崎田ゆかり
今井美佐穂(第0楽章)
鈴木正悟
NIWA(ワニモール)

【筒井演出】

駒田大輔
渡辺綾子(イッパイアンテナ)
新田あけみ
クールキャッツ高杉(イッパイアンテナ)
藤原大介(劇団飛び道具)

<出演者 プロフィール>

高杉 征司(タカスギ セイジ)

1975年生まれ。広島県出身。大学在学中より演劇をはじめる。劇団WANDERING PARTYを旗揚げし、代表を務める。同劇団はロクソドンタフェスティバル2004第一位や、若手演出家コンクール2007最優秀賞を受賞するなど注目を集める。また2010年に横浜美術館と国立国際美術館で開催された展覧会『束芋:断面の世代』で、その関連イベントとしてそれぞれの会場で『total eclipse-トータル・エクリプス-』(2010)が上演され話題となる。同劇団は2011年に解散し、現在はフリーで活動中。

☆演出より☆
WSオーディションにスタッフ参加頂いていた高杉さんを、半ば強引に出演を依頼。
大胆さと繊細さ、気安さと気難しさ、熱さと冷静さが同居していて、それを正直に晒している印象。人に優しく時に厳しく。昔悪かった人が、今は優しい典型的モデル。集中力と判断力の高さを持ち合わせる、カンパニーのリーダー的存在。本が好き、特に純文学、堀辰雄。やんちゃなロマンチストである。こんなところも魅力的。

駒田 大輔(コマダ ダイスケ)

1975年生まれ。石川県出身。1993年、大学入学とともに劇団その1に入団。1997年退団。2000年、劇団衛星に入団。2003年退団。以降はフリーの俳優として活動中。最近の出演作品に、ルドルフ『結婚申込み』(2008)・『熊』(2010)・『ルドルフのまっしろけでゴー』(2011)、WANDERING PARTY『total eclipse-トータル・エクリプス-』(2010)、マレビトの会『HIROSHIMA-HAPCHION:二つの都市をめぐる展覧会』(2010)、劇団飛び道具『ロキシにささぐ』(2011)など。

☆演出より☆
その昔、同じ劇団に所属していた先輩です。当時「駒田さんはロシア人のクォーターだ」と聞かされ、2年ほど信じていました。初演出作品からずっとご出演いただいてます。いつもなにげなく佇んで静かに役目を果たしてくれて、それでいて時々頭の良さそうなことをさらっと口にしたりするのでカッコいいはずなのですが、稽古場にお菓子が登場するやいなやいの一番にすっとんでくるなどの行動で何かと台無しになります。でもそこが魅力だと思っています。

崎田 ゆかり(サキダ ユカリ)

1988年生まれ。石川県金沢市出身。大学入学と同時に同志社大学の第三劇場に入団。卒団までほぼ全ての作品に出演している。その間、外部の団体にも積極的に参加。現在は京都を拠点にフリーで活動をしている。近年の主な出演作品に、烏丸ストロークロック『八月、鳩は還るか』(2009)、第三劇場『涙の洞』(2009)、tabula=rasa『ベケットのいくつか。』(2011)、デ『ルーペ/私のための小さな……』(2011)、ピンク地底人『マリコのために』(2011)、交換ノート企画(宴)『プラスチック☆ガール』(2012)などがある。

☆演出より☆
WSオーディションにて選出。今の自分に対峙し、変わることに興味を持っているという崎田さんに共鳴。一見ぼよよ~んと穏やかな存在にみえるが、中身は熱くどろどろとしている印象を持つ。真意を掴む聡明さと観察力、柔軟な思考力を持ち合わせる。周りに流されることがなく、淡々と取り組む。パンが好き。新しい自分を発見して欲しい。

渡辺 綾子(ワタナベ アヤコ)

1990年生まれ。滋賀県出身。3歳から18歳までクラシックバレエを学ぶ。学園祭でのクラス劇を機に、演劇の世界に入ろうと決意。大学入学と同時にイッパイアンテナに初の女優として入団。『サマースクイズマウンテン』以降すべての作品に出演している。劇団では役者と舞台美術を担当。外部出演作品はルドルフ『ルドルフのまっしろけでゴー』(2011)、『不動産を相続する姉妹』(2012)など。5歳の時に抱いた“ディズニーランドのパレードで踊るお姉さん”の夢は今も諦めていない。

☆演出より☆
数年前、ルドルフの公開稽古にきてくださったのが出会いです。休みの俳優の代役を買って出てくれたのですが、とてもいい感じだったのでその後2度ほどルドルフにご出演いただきました。天真爛漫でかわいくて少女漫画みたいなのに、ちょっと触れたらいけないような繊細な面が垣間見えるのが魅力的です。渡辺さんがどんな衣裳を着たらかわいいか考えるのが楽しくてしょうがないので、最近ほとんど着せ替え人形みたいになって申し訳なく思っています。

鈴木 正悟(スズキ ショウゴ)

静岡県出身。高校から演劇を始め龍谷大学入学後、演劇サークル劇団かるがもを旗揚げ。卒業後トリコ・Aに俳優として参加。すべての作品に出演する。解散後はフリーの俳優として活動している。2004年には演劇ユニット欄干スタイルを立ち上げ、演出家としても創作活動を行う。近年の主な出演作品に五反田団『生きてるものはいないのか』(2007)烏丸ストロークロック『漂泊の家~六川の兄妹~』(2008)、下鴨車窓『王様』(2010)、トリコ・Aプロデュース『和知の収穫祭』(2011)、劇団飛び道具『ロキシにささぐ』(2011)などがある。

☆演出より☆
関係者の推薦も参考に参加を依頼。独特な容姿とユーモアある発想力を持つ。真剣に取り組めば取り組むほど、奇妙さと危うさを醸し出す。持ち前の明るさと人懐っこさの中に潜むダークさが見え隠れする鈴木さん。もしかしたら一番素朴で誠実な人かも知れない・・・いや変態かもしれない。まだまだ謎は深い。

クールキャッツ高杉(イッパイアンテナ)

福岡県出身。同志社小劇場を卒団後、有志と共に『イッパイアンテナ』を結成。以後俳優として劇団の全公演に出演。団内ユニット『マカロニフィンガーズ』では脚本・演出も担当し、第4回ルナティック演劇祭にて『唐沢俊一賞』を受賞。最近の主な出演は、メイシアター×sunday『牡丹灯籠』(2012)などがある。

☆演出より☆
はじめてご一緒させていただきます。舞台を何度か拝見して、演技はもちろんのこと、見た目や実年齢とちょっとギャップのある雰囲気を持った声がとくに魅力的な俳優さんだと思っていて、今回出演をお願いしました。まずはなんといっても芸名が気になってしょうがないですが、同じ劇団の渡辺さんが「キャッツさん」と呼んでいるので、それに倣いつつもやや上から目線ぎみのテイストを加え、「キャッツくん」とお呼びしようと思っています。

今井 美佐穂(イマイミサホ)

1969年生まれ。京都府出身。大橋也寸、木野花の下で演劇を学ぶ。山の手事情社を経て、1995年からPROJECTジョカに10年在籍。退団後フリーとなり、かもねぎショットやワニモールなど多数出演。2010年に第0楽章立ち上げより参加、現在所属。その他、演劇の手法を用いたプレイバック・シアターの活動も並行して行っている。主な出演作品に、第0楽章『あくびと風の威力』(2010・2012)・『fとゆらぎ』(2011)、かもねぎショット『CircleDance -ロマンス-』(2009)、風煉ダンス『泥リア』(2011)、などがある。

☆演出より☆
信頼できるメンバーとして参加を依頼。キャスト唯一の京都出身。京都ビブレホールで尾崎豊を見て、自由を求め東京へ。積極さと慎重さを兼ね備え、自分の嘘や裏切りに敏感。自ら厳しい課題を掲げ、もがきながら一歩一歩目標に到達していく印象。カンパニーの相談役としても皆を支える。時々泣く。

新田 あけみ(ニッタ アケミ)

京都府出身。高校、大学と演劇活動をしていたが、結婚・子育てで演劇から離れる。関西に帰り子育てが一段落した頃から再開する。大阪の市民劇団に4年間所属したあと、小劇場に活動の場を移す。演劇計画2006『ノーバディー』、演劇計画2007『生きてるものはいないのか』の京都芸術センタ-演劇計画『生きてるものはいないのか』に出演してから京都の劇団の出演が多くなる。近年の主な出演作品に、てんこもり堂『MOON』(2009)・『壊れた風景』(2011)、France_pan『ありきたりな生活』(2010)、烏丸ストロ-クロック『八月、鳩は還るか』(2010)・『仇野の露』(2010)などがある。

☆演出より☆
はじめてご一緒させていただきます。オーディションに来てくださって、私めのような小僧ッ子のことばをさらりと聞き入れて演技に反映してくださる姿に頭が下がったことと、ふわっとしているのに謎めいているような不思議な雰囲気が素敵だったので、出演をお願いしました。その後、偶然お会いした際にはピチピチの元気さで「よろしくお願いします!」と言ってくださって、あまりの瑞々しさに圧倒されました。こちらこそ、よろしくお願い致します。

NIWA(ニワ)

1970年生まれ。演劇倶楽部「座」劇団員として20作品に参加。その後フリー。2007年よりワニモール主宰として2011年までに5作品の全てに作・演出・出演。主な出演作品に、岡崎藝術座『古いクーラー』(2010)、宮沢章夫×遊園地再生事業団ラボ リーディング公演『春式』(2011)、第0楽章『fとゆらぎ』(2011)、ミクニヤナイハラプロジェクト『幸福オンthe道路』(2012)などがある。またTV・映画では『風林火山』『仮面ライダーアギト」』『ゴジラVSキングギドラ』『デスノート2』『真幸くあらば』などに出演。

☆演出より☆
東京より出演依頼。自由奔放なアイディアマン。ワニモールでは一緒に創作する。捉え方や切り口が他者と相違。感心、時に嫉妬する。安定感と裏切りを併せ持つ。縛ればしぼみ、離せば飛んで行く風船みたいな。なのに、的確に事柄を評する能力がある。あまりお酒を飲ませてはダメ。

藤原 大介(フジワラ ダイスケ)

大阪府茨木市出身。立命館大学在学中より演劇活動を開始。1997年に劇団飛び道具を旗揚げ。以降、現在まで同劇団の代表を務め、主に俳優として公演に参加。劇団外の活動として、演劇計画2004『アルマ即興』(2004)、劇団八時半『そこは昔沼だった、しろく』(2007)、魚灯『静物たちの遊泳』(2007)、WANDERING PARTY『total eclipse-トータル・エクリプス-』(2010)、トリコ・Aプロデュース『クリスチネ』(2010)、下鴨車窓『王様』(2010)、ルドルフ『ルドルフのまっしろけでゴー』(2011)などに出演。

☆演出より☆
これまで何度か共演させていただいて、ルドルフにもご出演いただき、なにかとお世話になっています。引く手あまたの実力派で、年齢を重ねるたびに魅力が増しているのですが、「俺は芝居を一生懸命やってなどいない」という態度をこれでもかというほど一生懸命他人に表明する、少々面倒な側面もあります。藤原さんが一生懸命芝居をやっていることはもう周囲にバレているので、そろそろ無駄なエネルギーを使うのはやめてほしいと切に願っています。